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 講 演 要 旨


近藤 洋輝

地球温暖化の最新科学的知見と意義 要旨

 1980年代の気候変動に対する世界的関心の高まりと懸念から、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、
世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により、1988年設立された。
IPCCは、社会や政策決定者の判断の基礎として、政策に適切な(Policy relevant) 情報を提供することを目的としており、
それは政策を規定する(Policy prescriptive)ものではない。
IPCCは発足以来、気候変動に関する知見(科学的、技術的、社会・経済的な知見)の集約・評価として、
1990年、1995年、2001年、2007年についで、現在(2013〜14年)、第5次評価報告書(AR5)がまとめられつつある。
第1作業部会(WG1)は、「自然科学的根拠(Physical Science Basis)」を対象としており、
2013年9月には、世界中から選出された関係専門家(259人)による執筆陣が作成し、それに対し、
1089人の専門家による54,677の査読コメントなどをへて、9月のストックホルムの会議で本文(Underlying Report)案と、
それを政策決定者向けにまとめた「政策決定者向け要約(SPM)」の案に関し、後者の1行1行についての
表現上にわたる審議をへた承認とその上で整合性など編集上の補正を前提とする前者の受諾が行われ、
9月27日に公表された。
 ここでは、気候変動に関する最先端の自然科学的な知見が集約されているWG1担当分のAR5の主要な内容を中心に、
これまでの評価報告書の進展とAR5の特徴を述べるとともに、その意義についても触れる。
純学術的な興味ある問題という観点から研究されてきた気候変動の問題が、国際政策上のニーズに応える役割も果たし、
重要性のある問題という観点が生じている点は、オゾン層破壊問題と同様であるが、
後者ではオゾン層破壊物質の代替え物質の存在から、国際的協調が進んで対応は着実に進行しているのに対し、
地球温暖化問題は、様々な利害の背景から、総論賛成各論反対的な状況が継続しており、困難な交渉が進められている。
 地球温暖化は、1950年代に始めて全球的な観測プロジェクト「地球観測年(IGY)」が実施されて以来ほぼ継続して
観測されてきた、南極点やハワイ・マウナロアでのCO2の観測結果が1つの発端として研究が進展したといえる。
他方、明日、明後日の身近な将来の天気予報として、地球上の回転流体としての大気にたいし、連立変微分方程式系を
適用し、その数値積分による、数値予報モデルが、コンピュータの発達に伴って開発・進化をなしてきている。
そのモデルを、大気をめぐる海洋、陸面を含む太陽放射のもとでのバランス状態を研究する大気大循環論の研究も
進められ、そこから、CO2がこのまま増加したらどうなるかという数値実験の研究が行われるようになった。
このような由来にも若干述べる。
 一方、AR5が、これまでとどう違うか、どのような新知見があるかはこの紙面では尽くせないので、
講演において具体的に示したい。


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